2016年3月30日水曜日

サクラ開花と小さな発見

今年も会社そばの市道”自衛隊通り”のサクラが咲きました。満開の時期は迫力満点。

自衛隊通り 2016.03.30

サクラには多様な品種があり、全国のサクラのほとんどが「ソメイヨシノ」といわれています。
「ソメイヨシノ」は、「エドヒガン」と「オオシマザクラ」を交配して作られたサクラで、種子で増えることができず、挿し木や接ぎ木の栄養繁殖で増やします。よって、全国の「ソメイヨシノ」は全て1本のサクラの遺伝子をそのまま持ったクローンなのです。

自衛隊通りも当然のように「ソメイヨシノ」が並び、沿道がピンク色に染まっています。
そんな自衛隊通りのサクラをみて、毎年気付くことがありました。
「ん?この2本って何か違う・・・」

自衛隊正門付近にあるその2本は、サクラ開花宣言の前から咲き始め、開花宣言の頃にはすっかり八分咲です。しかも、緑の葉が混ざっています。
そう思いつつも、毎年、年度末の仕事に追われ、新緑の季節へと移っていきましたが、今年こそ調べてみました。

自衛隊通りのソメイヨシノと少し様子が異なるサクラは、「オオシマザクラ」でした。


ソメイヨシノの中にオオシマザクラが2本 2016.03.28

ソメイヨシノ 2016.03.28

オオシマザクラ 2016.03.28

「オオシマザクラ」は、伊豆諸島特産のサクラの原種で、多くのサトザクラの片親になっています。また、桜餅を包む葉に使われます。オオシマザクラの葉が大きいことと、クマリンという芳香物質を多く含み香りがよいためです。

「ソメイヨシノ」と「オオシマザクラ」の異なる点といえば、「ソメイヨシノ」はピンク色の花を咲かせ、花が散ってから葉が出てきますが、「オオシマザクラ」は白い花を咲かせると同時に緑色の葉も出てくることです。(個体差がありますので、花や葉の色はあくまでも目安です。)

ソメイヨシノ 2016.03.28

オオシマザクラ 2016.03.28

もう少し専門的に相違点をあげると、

花を支える「がく筒」:ソメイヨシノの方が大きく細かい毛がある、オオシマザクラは無毛。
花びらの下にある「がく片」:ソメイヨシノは全縁(ぜんえん、フチにギザギザがない)、オオシマザクラは鋸歯がある(きょし、フチにギザギザがある)。

等の違いがあります。

ソメイヨシノとオオシマザクラの相違点

なぜ、この2本だけが「ソメイヨシノ」ではなく、「オオシマザクラ」になったのかは不明ですが、どちらのサクラも趣があり、心を和ませてくれる存在です。

ちなみに、白い花と葉が同時に出て、葉が茶色の場合、そのサクラは「ヤマザクラ」であると推測されます。

文責 RI

2015年11月16日月曜日

アカハラダカの渡り観察

2015年9月12日(土)、環境・景観グループのOFF-JTの一環として、天草市六郎次山におけるアカハラダカの渡り観察を行いました。
アカハラダカは、名前のとおり、腹に赤味のあるタカで、大きさはハトくらいの小さな猛禽類です。

アカハラダカ(成鳥)

本種は中国東北部から朝鮮半島で繁殖し、東南アジアで越冬する渡り鳥です。
秋、繁殖を終えた個体群が、越冬地である東南アジアへの渡りを行う際、ほんの短い期間(主に9月中旬)ですが、日本では対馬や九州西岸、南西諸島などにおいて観察することができます。
アカハラダカの秋の渡りコース


では、渡りとはどういうものか?
アカハラダカの場合、繁殖地から越冬地までの距離は3,000km以上にも及びます。
しかも、コースの大半は休むことができない海上、また、渡り中は十分な獲物も確保できない可能性があり、渡りはまさに命がけです。
このため、アカハラダカは、はばたくことを極力少なくしたエネルギー効率の高い飛翔方法で渡っていきます。
上昇気流を利用して旋回帆翔上昇し、十分な高度に達したところで一気に滑翔、滑翔によって少しずづ高度が下がってくると再び上昇気流を見つけて高度を上げ、滑翔・・・、アカハラダカの渡りはこの旋回帆翔と滑翔の繰り返しであり、これによってエネルギー消費を極力抑えた移動が可能となります。


アカハラダカの飛翔方法

さて、当日朝、六郎次山の山頂には既に多くのバードウォッチャーが訪れており、皆さんと一緒に観察を開始しました。


タカの渡り観察の基本は「じっと待つ」ことです。
前述の飛翔方法からもわかるとおり、渡りコース上に上昇気流がなければ、渡りを行うことができず、待っても待ってもタカは来ないということもよくあります。
今日はどうだろうかと不安を抱えていたところ、7時43分、1羽のアカハラダカが頭上にやってきました(最初の写真)。とりあえず一安心です。

渡りの斥候の出現後、少しずつ数が増えはじめ、8時以降は渡りの個体が大挙して押し寄せ、時には150羽もの群れが目の前で旋回帆翔上昇する、いわゆる「タカ柱」を見せてくれます。そして、1羽が滑翔に移ると、他の個体もこれに引っ張られるように続いて滑翔に移り、アカハラダカが川のように流れていきます。
8時以降、少しずつ数が増えていきました
山頂北側の山林をバックに旋回帆翔上昇中の群れ
旋回帆翔上昇の様子は「タカ柱」と呼ばれます
このフレームだけで約70羽、群れの全ては写りきれません
高度が上がり、雲の中に・・・、こうなると正確な数がわかりません(雲の中に無数の影がうっすら見えますが・・・)
1羽が滑翔に移ると他の個体もこれに続いて滑翔に移り、まるで川のように流れていきます




終わってみれば、1,000羽を超えるアカハラダカの渡りを観察でき、大変見ごたえのある1日となったわけですが、秋にはこのように多くの個体が観察できるにも関わらず、越冬地から繁殖地への春の渡りは全く観察することができません。これは、春と秋では渡りのコースが異なり、春は日本経由の海上コースではなく、中国大陸を北上して繁殖地に移動する陸上コースを渡るためと考えられています。
そもそも、アカハラダカが日本を定期的に通過していることがわかったのも1980年代になってからのことであり、タカの渡りにはまだまだわかっていないことが多いのが現状です。
しかし、同じ調査を同じ時期に同じ場所で毎年継続することでデータが蓄積され、渡り特性のみならず、その種の全体数の変化を把握することも可能となり、今後、多くのことが解明されていくものと期待されます。

最後に、アカハラダカ以外にも渡り中の生き物が撮影できましたので、下記にご紹介します。


ハチクマ(こちらは南に渡るのではなく、東シナ海を越えて西側に渡っていきます)
ハリオアマツバメ(飛翔速度が時速200kmに達するといわれており、地球上で最も早く移動できる生物かも)
渡りを行う蝶アサギマダラです(アカハラダカと同じコースをヒラヒラと風に舞って南下していきました)
文責AH

2014年10月27日月曜日

龍ヶ岳ウバメガシ林

 熊本記念植物採集会の第1020回例会に参加しました(2014年9月14日)。
 主に環境・景観グループのメンバーがOFF-JTの一環で、上天草市の龍ヶ岳に登り、今回のテーマである「ウバメガシ林」について学んできました。
 登山途中には、植物名が記載された名札が付けてあり、植物だけでなく動物が専門のメンバーにも大変分かりやすく勉強になりました。事前に名札を付けて準備されたそうで、例会担当の皆様には大変お世話になりました。

和名が記載された名札付の植物(この植物は「クサギ」)

 龍ヶ岳のウバメガシ林は、山頂付近を中心に発達しています。
 ウバメガシは、沿岸地の急斜面に多く自生する常緑の樹木です。ブナ科コナラ属に分類され、果実として「どんぐり」が実ります。幹が非常に堅く、備長炭の原料としても有名です。葉は小型で硬く、内側に少し丸まり、乾燥や塩分に強い構造となっています。乾燥に強いことから、生垣や街路樹としても利用されています。

ウバメガシ林
ウバメガシ

 ウバメガシのどんぐりは、殻斗(かくと)がウロコ状になっていて、コナラやミズナラなどのどんぐりと似ています。殻斗(かくと)とは、どんぐりの帽子のことです。
 同じブナ科の樹木でよく見かけるアラカシのどんぐりは、殻斗が横しまのリング状になっています。また、スダジイやツブラジイの殻斗はどんぐり全体を包んでいたり、クリやクヌギなどの殻斗はトゲやイガ状になっているなど、樹種によってどんぐりの形や殻斗の形が違います。
ウバメガシのどんぐり

 龍ヶ岳の山頂付近には、ミューイ天文台やキャンプ場などの施設があります。その中でちょっと気になったのが、「ハート岩入り口」という看板です。矢印の方へ行くと、素晴らしい景色とともに、断崖絶壁の岩の先端付近にハートがっ!

ハート岩
昼食の後は、登山途中で出てきた植物やウバメガシについての勉強会があり、その中でさくら天狗巣(テングス)病についての話がありました。熊本記念植物採集会では、さくら天狗巣病の撲滅に取り組んでいらっしゃいます。

 最後に、他に生育していた植物を紹介します。

トベラ(トベラ科)

ヒメユズリハ(ユズリハ科)

ゴンズイ(ミツバウツギ科)
  

カクレミノ(ウコギ科)

ヤツデ(ウコギ科)
シコクママコナ(ゴマノハグサ科)
ハクサンボク(クマツヅラ科)
ミヤマウズラ(ラン科)
スギ(スギ科)
立派な一本杉でした。
文責NY


2014年9月9日火曜日

弊社役員の作品が熊本県美術協会展(第69回県美展)大賞を受賞しました

弊社取締役の緒方建二の作品が、今年の熊本県美術協会展(県美展)で大賞を受賞しました。

県美展は、今年で69回目を迎える美術展です。


県美展・大賞に緒方さん(熊本市)の洋画の写真、図解
【受賞作品:「霧立越往還」(油彩・100号)高さ1.6メートル、横1.3メートル】

2014年6月9日月曜日

第12回業務研究発表会

2014年5月30日に熊本市東区錦ヶ丘の「しらゆり会館」にて、業務研究発表会を行いました。

隔年開催しているこの発表会は、今回で12回目となります。



発表会の目的は、実際に取り組んだ業務上の問題解決事例や新しい手法を共有することで、社内の共通理解を深め、技術研鑽と今後の展開につなげることです。

自グループの専門技術を熟知しない第三者に対しても解りやすく内容を伝える必要があるため、発表者にとっては、プレゼン技術が磨かれる場でもあります。

今回は、環境・景観グループ、調査・防災グループ、設計・アセットマネジメントグループ、測量・用地管理グループ、用地補償グループの5グループから、希少動物の保全措置、設計イメージ伝達手法、分譲マンションの補償事例など、いずれも異なる5分野の発表があり、質疑応答も活発に行われました。




発表会終了後、審査員による審査・講評を経て、優秀な発表には賞が贈られました。

こうした取り組みを継続することで、社員の業務理解度やプレゼン能力を高め、発注者の皆様の問題解決にも寄与して参りたいと考えています。


文責 YM

2014年4月30日水曜日

クサイチゴと早春の植物

春になると、食べられる植物がたくさん出現します。
私の大好物「クサイチゴ」も赤く熟して、甘くなる季節です。
クサイチゴの香りと味は、他のどの食品にもないと思います。

早く採りにいかないと、タヌキに食べられちゃう!ということで、西原村に出かけました。
民有地はまずいので、道路法面に生えているクサイチゴを見つけに行きました。
でも、一週間ほど早かったようです。まだイチゴは緑色でした。
クサイチゴ

下の写真のような状態を期待していましたが、残念!そのまま食べても良し、ジャムにしても良し。
でも、中に白い虫がいる場合があるので、食べる前に確認してください。

クサイチゴ果実 熟すととても美味しいのです。

そこで、ワラビ採りに変更しました。クサイチゴの周囲に生えていました。
これも今の時期の楽しみです。
芽生えたばかりのワラビ
その後、近くの「白糸の滝」にむかい、散策しました。マイナスイオンが溢れていました。



遊歩道は新緑のイロハモミジがいい雰囲気です。

ここで見かけた早春の花をご紹介します。4月頃、山間に咲く花たちです。
(携帯電話で撮影したので、あまりいい写真ではありません。)

サツマイナモリ

コマユミ

ツルコウゾ

ヤブヘビイチゴ

シャガ

ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ) 周囲の白い花はハルジオン

キケマン

ゲンゲ(レンゲソウ)

スズメノエンドウ

早春の花は、他にもたくさん咲いています。花の香りもあちこちからしてきます。
みなさんも、川や里山にでかけてみてはいかがでしょうか。

文責 RI