2013年5月15日水曜日

干潟の外来植物

 先週、熊本県立第二高等学校生物部のスパルティナ属に関する研究のお手伝いをしていました。
 第二高校生物部では、昨年度から干潟に生育する外来植物スパルティナ属の駆除に関する研究に取組んでいます。弊社、環境・景観グループは、その研究で群落面積の測量等のお手伝いをしています。

 今回は、スパルティナ属の群落高や草量等の調査に加え、底生動物調査も実施しました。
干潟に足をとられながらも、高校生の皆さんとともに泥だらけになって調査しました。

調査風景


 研究対象となっている外来植物スパルティナ属とは、北米原産の干潟に生育する大型イネ科植物で、特定外来生物スパルティナ・アングリカに極めて近縁な「スパルティナ・アルテルニフロラ」です。外見がヨシ(アシ)に似ているため、「ヒガタアシ」とも呼ばれています。写真のように、干潟にコロニー状に分布しています。

コロニー状に分布する「スパルティナ・アルテルニフロラ」


 現在、「スパルティナ・アルテルニフロラ」は、愛知県と熊本県での定着が確認されており、熊本県では白川(熊本市)・坪井川(熊本市)・大野川(宇城市)で分布が拡大中です。白川の一部では、国土交通省により駆除が行われました。

 研究地の干潟では、チゴガニ等が確認でき、生物の生息孔も多数存在していました。しかし、スパルティナ属のコロニー内部は陸化し、生物の生息孔はほとんど確認できませんでした。

干潟に生息するチゴガニ

















 「スパルティナ・アルテルニフロラ」の侵入・分布拡大は、干潟の草原化を引き起こし、生物の生息環境の消失を招く恐れがあります。

「スパルティナ・アルテルニフロラ」の繁茂状況



 第二高校生物部の研究により、効果的な駆除方法が判明することを期待しています。
駆除のスピードアップのためには特定外来生物への指定も必要と思われますが、継続した対策を実施するためにも行政・河川管理者・地元が連携して駆除を行っていく仕組みづくりが望まれます。

文責 NY

0 件のコメント:

コメントを投稿